[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【フレスコ×彪生】片思い編:その1 SS
**********************************************
―あの日は、ちょうど今日と同じように粉雪が舞っていて
風は無く、芯の冷えるような冷たい空気が、しんとして音を奪っていた。
オレは、いつもと同じように彪生と待ち合わせた公園に走る。
あいつは、いつもと同じように俺に笑顔を向ける。
いつもと同じように…俺に声をかける―
ベッドに転がり、ぼんやりと考えた。
眼に見えるのは天井だけ。
珍しく頭を襲う鈍痛は、もう数時間続いている。
寝返りをうっても、なかなか治るものではない。
あれからずっと、何度もあの日を繰り返す。
思い出したいわけでもないのに湧き上がる記憶は、半強制的に脳裏を走った。
-…じな、友達だよ!-
彪生の言葉に何の問題も無いことは、分かってる。
あいつは、ごく自然に思った事を話してるだけだ。
それにオレだって彪生を大事な友達だと思っているし、その思いに嘘なんて無い。
引っかかっていること?
そんなこと、考えれば考えるほどに笑えてしまう。
どうかしているのは、明らかに自分の方で、それが理解できない。
最初は、単なる興味だった。
彪生はノリもいいし、明るくて。
つるんでて…楽しいなって、正直そのくらいだった。
でもなんだかんだと一緒にいるうちに、その行動に違和感を感じるようになって…
時々、ふっと何かを思いつめるような表情になるって事、連絡つかなくなる日があるって事も知った。
でもそれは一瞬に消えて、いつもどおり、周りの奴らとワイワイやってる。
気になって、
それからは、あえて何にも気づいてないフリして見てた。
ずっと、ずっと。
それから結構経って、やっぱり何度かそんな事があったけれど、彪生は何も言わなかった。
心配だった。
親友だ、大事だと笑顔で言いながら、
ある日突然どこかに行ってしまうんじゃないかと思った。
彪生はいつだって、誰に対しても同じだ。
あいつにとって仲間は1線上にあるもの。
そしてもちろん、オレもその例にもれることはない。
それが何故か、無性に寂しかった。
同時に、気づいたらあいつの事ばっかり考えてる自分自身に気づいて、吐きそうになった。
好き?友達じゃ満足できない?可笑しいだろって、思う。
なのに消えない…っ
まるで、彪生がいなくなることで、この世からすべてが消えてしまうような。孤独感。
なぁ…彪生、俺に隠してる事は何?
言えない、こと?
友達だから?ただの…
目をつぶると、少し安心した。
―あの日、公園に着いた時、彪生は既にいて、まるで子供のように滑り台の上に座っていた―
「おっはよー!今日は寒いね~」
彪生が吐いた息は白かった。見ると、手が赤くなっている。
「っはよー!うわっ、彪。手、真っ赤じゃん。降りてきたらオレパワーで温めてあげるよ」
「あはは!なにそれ。そんな事言って、フレも手、冷たいんでしょ?」
降りてきた彪生は、ふざけたように手をとってきた。
「っわ、フレすごい暖かいっ」
不意に言われた言葉に、不覚にも頬が熱くなる。
男相手に感じるはずのない高鳴りを感じて、戸惑った。
「彪、オレってお前のなんだっけ?」
ぼんやりとして、気づいたらそう聞いてた。
多分本当は、ずっと聞きたくて、聞けなかった事。
答えなんて分かっていた。
ただ少し、期待してしまった。
「何って何?フレは大事な人だよ!
大事な、友達だよ!」
―彪生はそう言って、いつものように笑った―
あとがき@ネタバレあり↓↓↓
というわけで甘酸っぱすぎるフレの片思い編でしたー!\^0^/
単なる興味が恋に変わる。彪君がお友達を一線以上自分のエリアに入れようとしないのは、彼の生い立ちが大きく関わっています。大切なものを失う寂しさ、それをもう二度と感じたくは無い。そして、彼の大切にするものをつらい目にはあわせたくないという確固たる信念。故に、フレスコが近づいてくるのを知った時、意識的に避けてしまうんですよね。その行動は、彼の純粋さゆえのものなんですが、人間の心は愚かなもので、その状況でフレスコの心に生まれるのは疑念であり、葛藤である。
どうにもならないもだもだ感。
青春の1ページは永遠となりえるのか
次回へと続く!